船釣りの世界で注目を集める電動リールジギング。深場での大型青物やマグロ類まで、従来のジギングでは狙えなかった魚種とファイトできる新しいスタイルです。しかし、「どの電動リールを選べばいいのか分からない」「普通のジギングとの違いは?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、電動リールジギングの基礎知識から機種選び、実践テクニックまで徹底解説します。初心者から上級者まで、失敗しない電動リール選びをサポートします。
1.電動リールでジギングを始める前に知っておくべき基礎知識
電動リールジギングとは?従来ジギングとの違い
電動リールジギングは、電動リールの巻き上げ力を活用した新しいジギングスタイルです。従来の手巻きジギングと比較して、以下の特徴があります。
従来ジギングとの主な違い
- 水深: 手巻きでは困難な200m~800mの深場まで対応可能
- 対象魚: 深海の大型青物、キハダマグロ、アラ、キンメダイなど
- 体力負担: 電動巻き上げにより疲労を大幅軽減
- ジグウェイト: 300g~1kgの重いジグも快適に操作
電動リールのモーターパワーを利用することで、これまで諦めていた深場の大型魚とのファイトが現実的になりました。
電動リールジギングの最大のメリットと注意点
メリット
- 深場攻略: 300m以深の未開拓エリアにアプローチ可能
- 体力温存: 長時間の釣行でも疲労が蓄積しにくい
- 大型魚対応: 50kg超のマグロ類とも安心してファイト
- 効率性: 短時間で広範囲を探れる
注意点とデメリット
- バッテリー管理: 電源確保が必須で航行中の充電が重要
- 機材重量: 電動リール本体が重く取り回しに慣れが必要
- コスト: 初期投資が高額(リール本体20万円~)
- メンテナンス: 塩害対策とモーター部の定期点検が必要
対象魚と水深別の電動リールジギング活用法
水深別ターゲット一覧
水深 | 主な対象魚 | 推奨ジグウェイト | リールサイズ |
---|---|---|---|
150-300m | ワラサ、ブリ、ヒラマサ | 200-400g | 300-600番 |
300-500m | キハダマグロ、カンパチ | 400-600g | 600-1000番 |
500-800m | アラ、キンメダイ、ムツ | 600-1000g | 1000-2000番 |
800m以深 | アブラボウズ、タラ | 800g以上 | 2000番以上 |
季節・エリア別攻略法
- 春~初夏: 外房・相模湾でのキハダジギング(300-500m)
- 夏~秋: 日本海でのブリジギング(150-300m)
- 冬: 駿河湾深海でのキンメジギング(500-800m)
電動リールジギングに必要な基本タックル構成
必須アイテム一覧
- 電動リール: ジギング対応モデル(1000-2000番)
- ロッド: 電動リール対応ジギングロッド(6-8ft)
- PEライン: 3-6号、300-600m巻き
- リーダー: フロロカーボン20-40号、5-10m
- ジグ: 200-1000g、ターゲットに応じて選択
- バッテリー: リチウムイオン12V、15Ah以上推奨
システム全体の予算目安
- エントリーセット: 約40万円(リール25万円+ロッド8万円+その他)
- ミドルクラス: 約60万円(リール35万円+ロッド12万円+その他)
- ハイエンド: 約80万円以上(リール50万円+ロッド15万円+その他)
2.ジギング用電動リールの正しい選び方
ジギングに適した電動リールの番手とパワー選択
番手選びの基本原則
電動リールの番手は対象魚と使用水深で決まります。以下の目安を参考にしてください。
番手 | 適用水深 | 主な対象魚 | 巻き上げ力目安 |
---|---|---|---|
300-600番 | 150-300m | 中型青物 | 8-12kg |
800-1000番 | 300-500m | 大型青物、キハダ | 12-18kg |
2000-3000番 | 500m以深 | 超大型魚 | 18kg以上 |
重要なスペック指標
- 実用巻上げ力: 最低でも対象魚の推定重量の1.5倍以上
- 巻取り長さ: 1回転70cm以上でジグアクションが効果的
- ライン巻量: 使用水深の2倍以上が安全マージン
電動ジギング対応機能の見極めポイント
必須機能チェックリスト
✅ 電動ジギング対応表示: メーカー公式でジギング使用を謳っているか
✅ シャクリ機能: 自動ジャーク機能やシャクリパターン設定
✅ フォールレバー: ジグのフォール速度を瞬時に調整可能
✅ 強化ギアシステム: ジギング時の負荷に耐える耐久性
✅ 高速巻き上げ: 毎分100m以上の巻取り速度
あると便利な追加機能
- 棚メモリー: 反応があった棚を記録
- 魚群探知機連動: 魚探データをリールで確認
- 負荷表示: モーター負荷をリアルタイム監視
- 船縁停止機能: 設定水深で自動停止
ドラグ性能とハンドル回転数の重要性
ドラグシステムの選び方
電動リールジギングでは、ドラグ性能が釣果を左右します。
- 最大ドラグ力: 使用PEラインの強度の70%程度に設定
- ドラグ素材: カーボン系で滑らかな効きが重要
- ドラグ調整: 釣行中の微調整がしやすいダイヤル式
ハンドル性能のチェックポイント
- ギア比: 5.0~6.0が理想的(高速巻きとパワーのバランス)
- ハンドル長: 90mm以上で十分なトルクを確保
- ダブルハンドル: 安定した巻き心地で疲労軽減
価格帯別おすすめ予算設定ガイド
エントリーモデル(20-30万円)
- 特徴: 基本機能に特化、初心者向け
- 適用: 水深300mまでの中型青物狙い
- 代表機種: プレイズ1000、レオブリッツ300J
ミドルクラス(30-45万円)
- 特徴: 充実した機能と耐久性を両立
- 適用: 水深500mまでのオールラウンド
- 代表機種: フォースマスター2000、シーボーグ500J
ハイエンド(45万円以上)
- 特徴: 最高峰の性能と機能を搭載
- 適用: 深海大物からマグロまで対応
- 代表機種: ビーストマスター2000、シーボーグ800J
3.【メーカー別】ジギング対応電動リールおすすめ15機種
シマノ製ジギング対応電動リール7選
1. ビーストマスター1000EJ(エントリーモデル)
- 価格: 約22万円
- 自重: 690g
- 最大ドラグ力: 15kg
- 特徴: 電動ジギング入門に最適な軽量モデル
2. ビーストマスター2000(ミドルクラス)
- 価格: 約35万円
- 自重: 690g
- 最大ドラグ力: 15kg
- 特徴: ハイスピード巻取りでキハダマグロにも対応
3. フォースマスター1000(ベーシック)
- 価格: 約28万円
- 自重: 680g
- 最大ドラグ力: 15kg
- 特徴: MUTEKI MOTOR+で抜群の巻上げ力
4. フォースマスター2000(人気モデル)
- 価格: 約32万円
- 自重: 695g
- 最大ドラグ力: 15kg
- 特徴: 巻上げ距離アラーム機能で正確な誘い
5. フォースマスター3000(深場対応)
- 価格: 約38万円
- 自重: 710g
- 最大ドラグ力: 15kg
- 特徴: 大容量でディープエリア攻略
6. プレイズ1000(コスパ重視)
- 価格: 約18万円
- 自重: 615g
- 最大ドラグ力: 10kg
- 特徴: 軽量で長時間使用でも疲れにくい
7. ビーストマスター9000(大物専用)
- 価格: 約55万円
- 自重: 1100g
- 最大ドラグ力: 25kg
- 特徴: 超大型魚対応の最高峰モデル
ダイワ製ジギング対応電動リール6選
1. シーボーグ300J(入門機)
- 価格: 約20万円
- 自重: 530g
- 最大ドラグ力: 12kg
- 特徴: MAGMAX-G MOTOR搭載で4倍の耐久性
2. シーボーグ400J(人気モデル)
- 価格: 約25万円
- 自重: 600g
- 最大ドラグ力: 16kg
- 特徴: 電動ジギングに最適化された設計
3. シーボーグ500J(ミドル)
- 価格: 約30万円
- 自重: 650g
- 最大ドラグ力: 18kg
- 特徴: ジギングモードで自動シャクリ機能
4. レオブリッツ300JL(軽量)
- 価格: 約24万円
- 自重: 540g
- 最大ドラグ力: 16kg
- 特徴: JOGパワーレバーで片手操作が可能
5. シーボーグ800J(深場対応)
- 価格: 約42万円
- 自重: 780g
- 最大ドラグ力: 20kg
- 特徴: 深海大物からマグロまで対応
6. シーボーグ500MJ-AT(マグロ専用)
- 価格: 約38万円
- 自重: 700g
- 最大ドラグ力: 18kg
- 特徴: MAGMAX MOTORで超強トルク
その他メーカーのコスパ重視モデル2選
1. ミヤマエ SuperCommand Z30(国産コスパ)
- 価格: 約15万円
- 自重: 580g
- 最大ドラグ力: 12kg
- 特徴: 国産品質でコストパフォーマンス抜群
2. テイルウォーク エレキャスター53(エントリー)
- 価格: 約12万円
- 自重: 520g
- 最大ドラグ力: 10kg
- 特徴: 電動リール入門に最適な価格設定
4.電動リールジギングの実践テクニックと専用システム
電動リールを活用したジギングパターンとコツ
基本的なジギングパターン
- フォール&ステイ: ジグを底まで落とし、着底後5-10秒ステイ
- スロージャーク: 電動で1-2m巻き上げ、フォールを繰り返す
- ハイピッチジャーク: 電動高速巻きで素早くジグを踊らせる
- コンビネーション: 上記を組み合わせて変化をつける
電動リール特有のテクニック
- 等速巻き: 一定速度での巻き上げで魚を誘う
- 加減速: 巻き速度を変化させてジグに不規則な動きを演出
- 自動シャクリ: リールの機能を使った自動ジャーク
深場でのコツ
- 底取り: 確実に底を取ってからジギング開始
- 棚の意識: 魚探反応に合わせて攻める棚を調整
- アタリの見極め: 深場特有の小さなアタリを逃さない
ジギング専用ロッドと電動リールの相性
ロッド選びの重要ポイント
電動リールジギングでは、ロッドとリールの相性が釣果を左右します。
推奨ロッドスペック
- 長さ: 6-8ft(電動リールとのバランス重視)
- 調子: 7:3~8:2のファーストテーパー
- 対応ジグ: 200-800g程度の幅広いレンジ
- ガイド: PEライン対応のSiCガイド
電動リール対応ロッドの特徴
- バットパワー: 電動リールの重量を支える強度
- 穂先感度: 深場のアタリを確実に捉える繊細さ
- リールシート: 電動リールを確実に固定できる設計
おすすめロッド5選
- シマノ グラップラー タイプJ 電動: 電動リール専用設計
- ダイワ ソルティガ 電動ジギング: 大型魚対応の強靭さ
- アブガルシア オーシャンフィールド: コスパ重視の実用型
- テンリュウ ホライゾン: 感度と操作性を両立
- ヤマガブランクス ブルーカレント: 軽量で疲労軽減
PEラインとリーダーシステムの最適解
PEライン選択基準
水深 | 推奨号数 | 巻量 | 主な用途 |
---|---|---|---|
150-300m | 3-4号 | 300m | 中型青物 |
300-500m | 4-5号 | 400m | 大型青物・キハダ |
500m以深 | 5-6号 | 600m | 深海大物 |
PEライン選びのポイント
- 8本撚り: 真円性が高く飛距離と耐久性で有利
- 高強力: 同号数でもより高い強度を持つ製品を選択
- 視認性: マーキング付きで水深把握が容易
リーダーシステム構築法
- 長さ: 8-12m(底擦れ対策重視)
- 太さ: PEラインの3-4倍の号数
- 結束: FGノット or PRノットで確実に接続
- 交換頻度: 5-10回の使用で新品に交換
バッテリー選びと電源管理の実践ノウハウ
電動リール用バッテリーの選び方
電動リールジギングでは、バッテリー選択が釣行の成否を決めます。
バッテリータイプ別比較
タイプ | 容量 | 重量 | 価格 | 持続時間 |
---|---|---|---|---|
鉛バッテリー | 15-20Ah | 4-6kg | 2-3万円 | 8-12時間 |
リチウムイオン | 10-15Ah | 1.5-2.5kg | 5-8万円 | 6-10時間 |
マキタ互換 | 5-6Ah | 0.6-0.8kg | 1-2万円 | 3-5時間 |
推奨バッテリー構成
- メインバッテリー: リチウムイオン12V 15Ah
- サブバッテリー: マキタ互換18V×2個並列
- 緊急用: 船舶用12V電源への接続ケーブル
電源管理のコツ
- 事前充電: 釣行前夜の満充電は必須
- 温度管理: 高温下での保管は避け、適温で使用
- 残量監視: デジタル表示で常に残量をチェック
- 予備確保: メインバッテリーの1.5倍分を用意
長時間釣行での電力節約術
- 待機時オフ: アタリを待つ間は電源オフ
- 適正負荷: 無理な巻き上げは避けて負荷を軽減
- メンテナンス: 定期的な清掃で動作効率を向上
- 使い分け: 状況に応じて手巻きと併用
バッテリートラブル対策
- 防水対策: ケースに入れて塩害から保護
- 接点清掃: コネクター部分の定期清掃
- 充電器選び: バッテリーに適合した専用充電器使用
- 保管方法: 使用後は適切な温度・湿度で保管
電動リールジギングは、従来の釣りでは到達できなかった深海の大型魚にアプローチできる革新的な釣法です。適切な機材選びと基本テクニックをマスターすれば、これまで経験したことのない大物とのファイトを楽しめるでしょう。
初期投資は高額ですが、一度体験すればその魅力に虜になること間違いありません。本記事を参考に、あなたに最適な電動リールを見つけて、新たな釣りの世界を開拓してください。