電動リールが突然動かなくなると、せっかくの釣行が台無しになってしまいます。船釣りで大型魚が掛かった時に電動リールが使えないと、手巻きでは到底取り込めないケースも多いでしょう。
実は、電動リールが動かない原因の約8割は、バッテリーや配線などの電源関連のトラブルです。この記事では、電動リールが動かない時の主な原因と、釣り場でもできる対処法を詳しく解説します。
1.電動リールが動かない主な原因

バッテリー関連のトラブル
電動リールが動かない最も多い原因がバッテリー関連のトラブルです。シマノやダイワの電動リールは、バッテリー電圧が一定値以下になると、保護機能が働いてモーターが停止します。
主な症状と原因:
- バッテリーマークが点滅または点灯している
- 鉛バッテリーの場合:10.5V以下に電圧低下
- リチウムイオンバッテリーの場合:13.5V以下に電圧低下
- バッテリーの寿命や劣化による容量不足
- 充電不足や放電による電圧低下
電動リールのバッテリーは消耗品です。特に鉛バッテリーは2〜3年、リチウムイオンバッテリーでも3〜5年程度で交換が必要になります。
電源・配線の接続不良
次に多いのが電源コードやコネクター部分の接触不良です。船釣りでは海水による塩ガミや腐食が発生しやすく、これが原因で通電不良を起こします。
よくある接続不良の箇所:
- 電源コネクターのネジの緩み
- ワニ口クリップの汚れや変形
- コネクター端子部分の塩の結晶付着
- ケーブル内部の断線(特に折り曲がり部分)
- 船電源の端子部分の腐食
シマノの取扱説明書では、「電源コネクターのネジがしっかりと締め付けられているか確認し、サビを落としてから再度確認する」ことを推奨しています。
モーター・内部機構の故障
モーター自体の故障は比較的稀ですが、以下のような症状が現れます。
モーター故障の症状:
- 異音(ガリガリ音、キーンという高音)
- モーターが回転するが巻き上げ力がない
- 過熱によるモーターの焼損
- ギア部分の破損や摩耗
- ブラシ(ブラシ付きモーターの場合)の磨耗
モーター故障の多くは、過負荷による損傷や、メンテナンス不足による内部パーツの摩耗が原因です。
カウンター・電子回路の異常
デジタルカウンター部分の電子回路に問題が発生すると、電動リール全体が動作しなくなることがあります。
電子回路異常の症状:
- カウンターに「Err」や「ERROR」の表示
- 液晶画面が映らない、薄い
- 糸巻き学習ができない表示
- 電源投入時の異常表示
水没や強い衝撃により、カウンター内部に海水が浸入すると、電子回路がショートして修復不可能な損傷を受けることがあります。
セーフティ機能の作動
現代の電動リールには、本体を保護するための各種セーフティ機能が搭載されています。これらが作動すると、一時的に動作が停止します。
主なセーフティ機能:
- 自動復帰ブレーカー(過負荷保護)
- 電圧保護機能(高電圧・低電圧時の停止)
- 過熱保護機能(モーター温度上昇時の停止)
- 糸巻き学習エラー保護
シマノの場合、自動復帰ブレーカーが作動すると全表示が点滅し、5分以上の休止が必要になります。
2.釣行前にできる簡単チェック方法

バッテリー電圧の確認方法
釣行前には必ずバッテリー電圧をチェックしましょう。デジタルテスターを使用して、以下の基準値以上であることを確認してください。
適正電圧の目安:
- 鉛バッテリー:12.0V〜14.8V
- リチウムイオンバッテリー:14.0V〜16.8V
- マキタ18Vバッテリー:18V〜20V(対応機種のみ)
バッテリー残量が50%以下の場合は、釣行前に必ず満充電にしておきましょう。
コネクター・端子の点検
電源コードのコネクター部分とリール側の端子を目視で点検します。
チェックポイント:
- コネクター端子に白い塩の結晶がないか
- 端子部分に緑青(腐食)がないか
- ワニ口クリップの開閉がスムーズか
- コネクターのネジが確実に締まっているか
塩の結晶や腐食を発見したら、真水で洗浄後、コンタクトスプレーやコネクターグリスを塗布してください。
電源コードの通電確認
電源コードの断線チェックも重要です。特に頻繁に折り曲げる部分は断線しやすいので注意が必要です。
簡単な通電確認方法:
- テスターをコネクター端子に当てる
- ケーブルを軽く曲げながら導通を確認
- 導通が途切れる箇所があれば断線の可能性
断線が疑われる場合は、予備のケーブルを持参するか、修理に出しましょう。
動作テストの手順
釣行前には必ず動作テストを行いましょう。シマノの取扱説明書では「1.1m以上糸が出た状態でないとモーターは作動しない」と記載されています。
正しい動作テスト手順:
- バッテリーを接続し電源を投入
- 糸を1.5m以上出した状態にする
- 低速で巻き上げ動作を確認
- カウンター表示が正常に作動するか確認
- 各種機能(船べり停止、フカセモードなど)の確認
カウンター表示の確認
デジタルカウンターの表示に異常がないか確認します。
正常な表示状態:
- 電源投入時の初期表示(2秒間の英数字表示は正常)
- バッテリーマークが点灯していない
- 糸巻き量の表示が正確
- エラーメッセージが表示されていない
異常がある場合は、電源を一旦切って再投入してみましょう。
3.症状別の対処法とトラブルシューティング

電源が入らない場合の対処法
症状: 電源ボタンを押してもカウンターが点灯しない
原因と対処法:
-
バッテリー電圧不足
- テスターで電圧測定
- 10.5V以下なら充電または交換
-
コネクター接続不良
- コネクターを一度外して再接続
- 端子部分の清掃
- ネジの締め直し
-
ヒューズ切れ(一部機種)
- バッテリーボックス内のヒューズ確認
- 切れている場合は同じ容量のヒューズと交換
-
内部回路の故障
- 上記を試しても改善しない場合は修理依頼
モーターが途中で止まる時の解決方法
症状: 巻き上げ中にモーターが停止する
この症状はShimanoの取扱説明書でも言及されており、主に以下の原因が考えられます。
対処法:
-
電源コネクターの点検
- ネジの締め付け確認
- 端子部分のサビ・塩除去
- 接点復活剤の使用
-
バッテリー容量の確認
- 電圧測定(負荷をかけた状態で)
- 容量不足なら充電または交換
-
過負荷の回避
- 根掛かり時の無理な巻き上げを避ける
- 対象魚に対してリールサイズが適切か確認
-
自動復帰ブレーカーの作動
- 全表示が点滅している場合は5分以上休止
- 負荷を軽減してから再開
カウンターにエラー表示が出る場合
主なエラー表示と対処法:
「Err」「ERROR」表示
- セーフティ機能の作動
- 電源を切って数分待ってから再起動
- 問題が続く場合は修理依頼
「糸巻学習できません」表示
- 糸巻き学習操作の不備
- 正しい手順で再度学習を実行
- 糸が適量出ている状態で操作
電圧ブレーカー表示
- 電源電圧が24V以上(または28V以上)
- 使用している電源の電圧を確認
- 適正範囲(12V〜14.8V)の電源に変更
巻き上げ中に異音がする時の対応
ガリガリ音がする場合:
- ギア部分への砂や塩の侵入
- 分解清掃とグリスアップが必要
- 素人作業は危険なので専門店に依頼
キーンという高音がする場合:
- ベアリングの劣化
- モーターブラシの摩耗
- 早急な修理が必要
変な音がするが巻いていない時:
- コンデンサーの振動音(正常)
- 不安定な電源によるもので故障ではない
糸巻き学習ができない場合の対策
糸巻き学習は電動リールの基本機能で、これができないとカウンターが正常に作動しません。
学習失敗の原因:
- 糸の出し方が不適切
- 学習中に糸を動かした
- PEラインの結び方が不適切
正しい学習手順:
- 新しいPEラインを適量巻く
- 糸を10〜20m出す
- 学習モードに設定
- 一定速度でゆっくり巻く
- 途中で糸を触ったり動かしたりしない
4.メンテナンスと故障予防

定期的な清掃とグリスアップ
釣行後の清掃(毎回):
- 真水での水洗い(防水キャップを必ず装着)
- 塩分の除去
- 水分の完全な乾燥
- 可動部分への軽い注油
月1回程度の詳細清掃:
- コネクター部分の分解清掃
- 接点復活剤の使用
- グリスアップ(専用グリス使用)
年1回のオーバーホール:
- 専門店での分解整備
- 内部パーツの交換
- 防水性能の確認
バッテリーの適切な管理方法
鉛バッテリーの管理:
- 月1回以上の充電(自然放電対策)
- 完全放電を避ける
- 液量の定期確認(開放型の場合)
- 2〜3年での交換
リチウムイオンバッテリーの管理:
- 残量50%程度での保管
- 極端な高温・低温を避ける
- 月1回程度の充放電
- 3〜5年での交換
マキタバッテリー使用時の注意:
- 純正または対応品の使用
- 18V対応機種でのみ使用
- 過放電保護機能付きを選択
コネクター部分の塩ガミ対策
塩ガミは電動リールトラブルの大きな原因です。予防と対策を徹底しましょう。
予防策:
- 使用後の真水洗浄
- コネクターグリスの定期塗布
- 防水キャップの確実な装着
- 乾燥剤入りケースでの保管
塩ガミ発生時の対処:
- 真水に30分程度浸漬
- 歯ブラシで物理的な除去
- 接点復活剤での清掃
- 完全乾燥後にグリス塗布
保管時の注意点
短期保管(1週間〜1ヶ月):
- 真水洗浄と完全乾燥
- バッテリーの取り外し
- 防湿庫または乾燥剤入りケースで保管
長期保管(1ヶ月以上):
- 分解清掃とグリスアップ
- バッテリーの適切な保管
- 定期的な動作確認(月1回程度)
- 可動部分の定期的な作動
保管場所の条件:
- 直射日光を避ける
- 温度変化の少ない場所
- 湿度50〜60%程度
- 塩分の影響を受けない場所
修理業者への依頼タイミング
以下の症状が現れたら、自己修理は避けて専門業者に依頼しましょう。
即座に修理依頼すべき症状:
- カウンター部分のクラック
- 異常な発熱や発煙
- 内部からの異音
- 液晶の完全な不表示
- モーターの完全停止
修理費用の目安:
- 一般的な清掃・調整:3,000〜8,000円
- パーツ交換を伴う修理:10,000〜25,000円
- モーター交換:20,000〜40,000円
- 全体的なオーバーホール:15,000〜30,000円
修理か買い替えかの判断:
- 購入から5年以上経過
- 修理費用が新品価格の50%以上
- 同じ故障を繰り返している
- 部品の製造中止
まとめ
電動リールが動かない原因の大部分は、適切なメンテナンスと事前チェックで予防できます。特にバッテリーの管理と電源系統の清掃は、トラブル回避の要となります。
重要なポイント:
- 釣行前の動作確認は必須
- バッテリー電圧の定期的なチェック
- コネクター部分の清掃と防錆対策
- 異常を感じたら早めの専門業者相談
万が一釣り場でトラブルが発生した場合でも、この記事の対処法を実践すれば、多くの場合は復旧可能です。日頃からのメンテナンスを心がけ、安心して電動リールでの釣りを楽しみましょう。