電動リールの機能の中でも、特に釣果に直結するのが「シャクリ機能」です。この記事では、シャクリ機能の基本から実践的な使い方まで、これから電動リールを始める方にもわかりやすく解説します。
1. 電動リールのシャクリ機能とは

シャクリ機能の基本的な仕組み
電動リールのシャクリ機能とは、仕掛けを自動で上下に動かして魚を誘う機能のことです。通常は手動で竿をしゃくり上げて魚を誘いますが、電動リールのシャクリ機能を使えば、スイッチ一つで自動的に仕掛けを上下させることができます。
具体的には、任意の水深区間で仕掛けを一定の幅だけ巻き上げ、その後自動的に落とし込むという動作を繰り返します。この上げ下げの動作によって、魚に対してエサや仕掛けをアピールし、食いつきを促すのです。
主要メーカーでは、以下のような名称で展開されています。
- シマノ: オートシャクリ機能、段引きシャクリ機能
- ダイワ: JOGパワーレバーによる誘い操作
- ミヤエポック: オートシャクリ機能
手動シャクリとの違い
手動シャクリと電動シャクリには、それぞれメリット・デメリットがあります。
手動シャクリのメリット
- その場の状況に応じて臨機応変に誘いを変えられる
- 魚の反応を直接感じ取りやすい
- バッテリー消費がない
電動シャクリのメリット
- 一定のリズムで誘い続けることができる
- 体力的な負担が少ない
- 複数台の竿を同時に操作できる
- 長時間の釣行でも疲れにくい
特にタチウオやアカムツのように、深場で長時間誘い続ける必要がある釣りでは、電動シャクリ機能の恩恵が大きくなります。また、イサキやアジなどのコマセ釣りでは、コマセを撒きながら誘うという複雑な動作を自動化できるため、手返しが格段に向上します。
シャクリ機能が搭載されている電動リールの種類
シャクリ機能は、すべての電動リールに搭載されているわけではありません。主に中型から大型の電動リールに搭載されており、小型の電動リールには搭載されていないことが多いです。
シャクリ機能搭載の代表的なモデル
シマノ
- プレイズ 800(600番にはない多機能モデル)
- フォースマスター 600/1000/2000/3000
- ビーストマスター 1000EJ/2000
ダイワ
- シーボーグ 200J/300MJ/400J/500JS
- レオブリッツ 200J
ミヤエポック
- AC-3JP/3JPC、AC-5SC、AT-3S、AT-5S
購入時には、製品仕様表で「オートシャクリ機能」「段引きシャクリ機能」などの記載があるか確認しましょう。エントリーモデルや小型モデルには搭載されていないことが多いため、シャクリ機能を使いたい場合は600番以上の中型モデルを選ぶのがおすすめです。
2. シャクリ機能の操作方法と設定

基本的な操作手順
電動リールのシャクリ機能は、各メーカーによって操作方法が多少異なりますが、基本的な流れは共通しています。
シマノ製電動リールの場合
- 仕掛けを狙いのタナ(水深)まで降ろす
- MENUボタンを長押ししてメニュー画面を表示
- シャクリ機能を選択
- シャクリの開始位置と終了位置を設定
- スタートボタンを押してシャクリ開始
ダイワ製電動リールの場合
- JOGパワーレバーを使って狙いのタナに仕掛けを設定
- シャクリモードを選択
- レバー操作でシャクリの幅とスピードを調整
- 自動シャクリをスタート
ミヤエポック製電動リールの場合
- 海底または任意の水深に仕掛けをセット
- オートシャクリボタンを押す
- シャクリ上げる区間を設定
- 自動で上げ下げを繰り返す
初めて使う場合は、まず説明書をよく読み、陸上で動作確認をしてから実釣に臨むことをおすすめします。
シャクリ幅と速度の設定方法
シャクリ機能の効果を最大限に引き出すには、シャクリ幅(上下させる距離)と速度の設定が重要です。
シャクリ幅の目安
- タチウオ: 2~5m程度
- アカムツ(ノドグロ): 1~3m程度(スロー巻き上げと組み合わせ)
- イサキ・アジ: 3~10m程度(コマセを撒く動作として)
- タイラバ: 底から5~10m程度
速度の設定
速度は魚の活性によって調整します。
- 高活性時: やや速めのシャクリで広範囲を探る
- 低活性時: ゆっくりとしたシャクリでじっくり誘う
- アカムツなど警戒心の強い魚: 超スロー巻き上げモード(150m/分程度)
多くの機種では、シャクリ速度を段階的に調整できます。シマノのプレイズやフォースマスターでは、HI/MID/LOWの3段階、ミヤエポックでは無段階調整が可能です。
オートシャクリとマニュアルシャクリの使い分け
電動リールには、完全自動のオートシャクリと、半自動のマニュアルシャクリがあります。
オートシャクリの活用シーン
- 長時間同じパターンで誘い続けたい時
- 複数本の竿を同時に操作する時
- 体力を温存したい時
- 初心者が一定のリズムで誘いたい時
マニュアルシャクリの活用シーン
- 魚の反応を見ながら誘いのパターンを変えたい時
- アタリがあった後の追い食いを狙う時
- 潮の流れや海況に合わせて細かく調整したい時
実際の釣りでは、オートシャクリで基本パターンを実行しながら、魚の反応があった時にはマニュアルで調整するという使い分けが効果的です。
深さ記憶機能との連動設定
多くの電動リールには、特定の水深を記憶する「深さ記憶機能」が搭載されています。この機能とシャクリ機能を連動させることで、さらに効率的な釣りが可能になります。
連動設定の手順(シマノの例)
- MEMOボタンで狙いのタナを記憶
- シャクリ機能の開始位置を記憶した水深に設定
- 次回投入時、自動的に記憶した水深で停止
- そこからシャクリ機能が自動で開始
この機能を使えば、一度良い反応があったタナを正確に再現できます。特にコマセ釣りでは、「タナに到達→自動停止→コマセシャクリ開始→船べりまで自動巻き上げ」という一連の流れを自動化でき、手返しが大幅に向上します。
ミヤエポックのAC-3JPCなどでは、メモリー機能により電源を切っても設定が保持されるため、次回の釣行でも同じ設定で使用できます。
3. 対象魚別のシャクリ機能活用法

タチウオ釣りでのシャクリ機能の使い方
タチウオ釣りは、電動リールのシャクリ機能が最も威力を発揮する釣りの一つです。
基本的なシャクリパターン
- 仕掛けを底から1~2m上に設定
- 3~5mの幅でシャクリ上げ
- 1~2秒停止(ここで食ってくることが多い)
- フリーフォールで落とす
- 繰り返し
タチウオに効果的な設定
- シャクリ幅: 3~5m
- 速度: 中速(活性が高い時はやや速め)
- 休止時間: 1~2秒
- シャクリ区間: 底から5~15m
タチウオは、動きの速いエサに反応する性質があるため、シャクリ上げた後の停止時間とフォール時にアタリが集中します。フォースマスター600やプレイズ600など、タチウオテンヤ向けに設計されたモデルが特におすすめです。
アカムツ(ノドグロ)釣りでの効果的な誘い方
アカムツは警戒心が強く、ゆっくりとした誘いが効果的です。
アカムツ向けシャクリ設定
- 底から1~2m上を起点にセット
- 1~3mの小幅なシャクリ
- 超スロー巻き上げ(150m/分程度)を使用
- こまめに停止を入れる
ポイント
- タチウオとは逆に、ゆっくりとした誘いが基本
- シャクリ幅は小さめに設定
- ミヤエポックのAC-5SCなどに搭載されている「超スロー巻き上げ」機能が特に有効
- 停止時間をやや長めに取る(2~3秒)
深海のアカムツ釣りでは、手動でこのようなスロー誘いを長時間続けるのは困難です。電動リールのシャクリ機能を使うことで、体力を温存しながら効果的な誘いを維持できます。
イサキ・アジなどのコマセ釣りでの活用
イサキやアジのコマセ釣りでは、「コマセ巻き上げ機能」と呼ばれる特殊なシャクリ機能が効果的です。
コマセ巻き上げ機能の動作
- 狙いのタナに仕掛けを投入
- 高速シャクリでコマセを撒く(通常4回程度)
- 各シャクリ後に1秒程度の休止
- コマセを撒き終えたら10秒程度の長い休止
- 船べりまで自動巻き上げ
設定のコツ
- シャクリ回数: 4~6回(コマセの量に応じて調整)
- シャクリ幅: 3~5m
- 休止時間: シャクリ後1秒、最終休止10秒
- 深さ記憶機能との連動: 自動でタナ停止→コマセ開始
ミヤエポックのAC-3JPでは、基本設定が済んでいるため、初心者でもすぐに使えます。設定は変更可能なので、釣り場の状況に合わせて調整しましょう。
複数の竿を出す場合、深さ記憶機能と連動させることで、「投入→自動でタナ停止→コマセシャクリ開始→回収」という一連の流れを完全自動化できます。これにより、手返しが大幅に向上し、釣果アップにつながります。
タイラバでのオートシャクリテクニック
タイラバは基本的に「落として巻く」釣りですが、電動リールのオートシャクリ機能を活用することで、より効果的な誘いが可能になります。
タイラバ向けオートシャクリ設定
- 底を取る
- 底から5~10mの区間をオートシャクリで設定
- 超スロー巻き上げモード(150~200m/分)を使用
- 一定の速度で上下させる
タイラバでのポイント
- シャクリ幅は5~10m程度
- 速度は一定に保つ(マダイは一定速度の巻き上げに反応)
- 底から離れすぎないように注意
- アタリがあっても即アワセせず、巻き続ける
ミヤエポックのカタログにも記載されているように、オートシャクリ機能により底から一定区間をタイラバで上下させることができます。超スロー巻き上げとの組み合わせが最適です。
通常のタイラバは手動で一定速度を保つ必要があり、集中力と体力が必要ですが、オートシャクリを使えば自動で理想的な誘いを継続できます。
4. シャクリ機能付き電動リールの選び方

シャクリ機能の有無を確認するポイント
電動リールを購入する際、シャクリ機能の有無を確認するポイントは以下の通りです。
カタログ・仕様表での確認項目
- 「オートシャクリ機能」の記載
- 「段引きシャクリ機能」の記載
- 「コマセ巻き上げ機能」の記載
- 機能一覧表に○や●がついているか
注意が必要な点
- 小型モデル(200番以下)にはシャクリ機能が搭載されていないことが多い
- エントリーモデルには搭載されていない場合がある
- 中古品の場合、年式によって機能が異なる
例えば、シマノのプレイズシリーズでは、600番にはシャクリ機能がありませんが、800番には搭載されています。購入前に必ず仕様表で確認しましょう。
メーカー別のシャクリ機能の特徴
各メーカーによって、シャクリ機能の特徴や操作性が異なります。
シマノの特徴
- オートシャクリ機能、段引きシャクリ機能を搭載
- メニュー画面から詳細設定が可能
- フカセモードとの併用でさらに多彩な誘いが可能
- プレイズ800、フォースマスター600/1000/2000、ビーストマスター1000EJなどに搭載
ダイワの特徴
- JOGパワーレバーによる直感的な操作
- 親指一つで棚取り、誘い、巻き上げをコントロール
- シーボーグシリーズの多くに搭載
- MEGATWIN-PROによるギア切替で多様な釣りに対応
ミヤエポックの特徴
- オートシャクリ、コマセ巻き上げ、超スロー巻き上げの3つの誘い機能
- 基本設定済みで初心者にも使いやすい
- メモリー機能で電源を切っても設定保持
- 日本製で高品質
釣りスタイルに合わせた番手の選び方
シャクリ機能を活用する場合の番手選びのポイントです。
小型~中型魚向け(600~800番)
- 対象魚: タチウオ、イサキ、アジ、小型青物
- おすすめ機種: シマノ フォースマスター600、プレイズ800、ダイワ シーボーグ200J
- 特徴: 軽量で操作性に優れる、近海の浅場から中深場に対応
中型~大型魚向け(1000~2000番)
- 対象魚: アカムツ、マダイ、中型青物、深海魚
- おすすめ機種: シマノ フォースマスター1000/2000、ダイワ シーボーグ300MJ/400J
- 特徴: パワフルな巻き上げ力、深場対応、太糸使用可能
大型魚・深海向け(3000番以上)
- 対象魚: 大型青物、深海魚、マグロ
- おすすめ機種: シマノ フォースマスター3000、ビーストマスター2000、ダイワ シーボーグ500JS
- 特徴: 最大級のパワー、大容量スプール、耐久性重視
自分が主にターゲットとする魚種と釣り場の水深に合わせて、適切な番手を選びましょう。
予算別おすすめ機種
シャクリ機能付き電動リールを予算別にご紹介します。
エントリー価格帯(4万円~6万円)
- シマノ プレイズ600: シャクリ機能は非搭載だが、コストパフォーマンス抜群
- シマノ プレイズ800: シャクリ機能搭載、ムテキモーター、多機能でコスパ最高
- ダイワ レオブリッツ200J: 小型ながら高性能
ミドル価格帯(6万円~10万円)
- シマノ フォースマスター600: タチウオテンヤに最適、軽量コンパクト
- シマノ フォースマスター1000: 汎用性の高い中型モデル、MUTEKI MOTOR搭載
- ダイワ シーボーグ200J/300MJ: 片手操作に優れるJOGパワーレバー搭載
ハイエンド価格帯(10万円以上)
- シマノ フォースマスター2000/3000: 大型魚対応、探見丸スクリーン搭載
- シマノ ビーストマスター1000EJ/2000: 電動ジギング対応、最強クラスのパワー
- ダイワ シーボーグ400J/500JS: フラッグシップモデル、MAGMAX MOTOR搭載
- ミヤエポック AC-3JP/AC-5SC: 日本製高品質、プロ仕様
初めての一台なら、プレイズ800やフォースマスター600がおすすめです。コストパフォーマンスに優れ、シャクリ機能も充実しています。
5. シャクリ機能を使う際の注意点とトラブル対処

バッテリー消費を抑える使い方
シャクリ機能は便利ですが、バッテリー消費が多くなる傾向があります。
バッテリー消費を抑えるコツ
-
適切なバッテリー容量を選ぶ
- 12Vバッテリーなら20Ah以上を推奨
- リチウムイオンバッテリーも選択肢
-
不要な時は機能をオフにする
- シャクリ機能を使わない時は停止
- 液晶のバックライトを必要以上に明るくしない
-
効率的なシャクリ設定
- シャクリ幅を必要最小限に
- 速度設定を適切に(速すぎる設定は電力消費が大きい)
-
複数バッテリーの携行
- 長時間の釣行では予備バッテリーを用意
- バッテリー残量を定期的に確認
-
船電源の活用
- 遊漁船の電源が使える場合は積極的に利用
- ただし、トラブルに備えて専用バッテリーも携行
ダイワやシマノの電動リール用バッテリーは、容量と持続時間のバランスが取れた製品が多く販売されています。マキタの18Vバッテリーを変換して使う方法もありますが、12V専用設計のリールでは推奨されません。
シャクリ機能が動かない時の対処法
シャクリ機能が動かない場合の確認ポイントと対処法です。
バッテリー関連の確認
- バッテリー残量は十分か
- バッテリー接続が正しいか(プラス・マイナスの向き)
- コネクター部分に汚れや腐食がないか
- ケーブルに断線や損傷がないか
設定の確認
- シャクリ機能が正しく設定されているか
- メニュー画面で機能がONになっているか
- 船べり停止位置の設定は適切か
- 0セット(ゼロセット)が正しく行われているか
リール本体の確認
- クラッチがONになっているか
- モーター部分が過熱していないか
- 液晶画面にエラー表示が出ていないか
- 電源ボタンがしっかり押されているか
対処方法
- 一度電源を切り、再起動する
- バッテリーを接続し直す
- 0セットをやり直す
- 設定をリセットして初期設定に戻す
これらを試しても動作しない場合は、モーターやギアの故障、電子基板のトラブルが考えられます。無理に使用せず、メーカーのサービスセンターや釣具店に相談しましょう。
メンテナンスのポイント
シャクリ機能を長く快適に使うためのメンテナンス方法です。
使用後の基本メンテナンス
-
水道水での洗浄
- ケーブルを抜く
- コネクターキャップを閉める
- リールを完全に冷ます
- ドラグを締め込む
- 水道水をかけながらスポンジで汚れを落とす
- スプール軸受け部に水道水をかけながらクラッチを切り、道糸を2~3m出す
-
乾燥
- ドラグを緩める
- 影干しで十分に乾燥させる
- 直射日光は避ける
-
ケーブルのメンテナンス
- ワニ口部分を水道水で洗い流す
- 軽くブラッシングして不純物を除去
- グリスアップ(コネクター部分)
定期的なメンテナンス
- オーバーホール: 年1回または使用頻度に応じて
- グリスアップ: メタルコンセント部分、トラバースカム部分
- ベアリング交換: 回転が悪くなったら
- 塩ガミ対策: S A-RBでも定期的な真水洗いが必要
保管時の注意
- ケーブルを必ず外して保管
- 湿気の少ない場所で保管
- ドラグは緩めておく
- バッテリーは満充電にして保管(リチウムイオンは50~80%)
シマノ、ダイワともに公式サイトでメンテナンス動画を公開しているので、参考にしてください。定期的なメンテナンスにより、シャクリ機能を含めた電動リールの性能を長く維持できます。
電動リールのシャクリ機能は、正しく使えば釣果アップの強力な武器になります。この記事で紹介した基本操作から対象魚別のテクニック、メンテナンス方法までをマスターして、快適な電動リール釣りを楽しんでください。