船釣りに欠かせない電動リールですが、いざ使おうとした時に「動かない!」「途中で止まる」「変な音がする」といったトラブルに遭遇した経験はありませんか?
このような電動リールのトラブルは、原因さえ分かれば多くの場合、自分で解決できます。本記事では、電動リールでよくあるトラブルの原因と具体的な対処法を、長年の釣具店経験をもとに詳しく解説します。
底LINE:電動リールトラブルの9割はバッテリー・コネクター・メンテナンス不足が原因。正しい対処法を知れば釣り場でのピンチも回避できます。
1.電動リール トラブルの基本知識

電動リールでよくあるトラブル症状
電動リールで発生する主なトラブルは以下の通りです:
電源・動作系トラブル
- 電源が入らない
- モーターが回らない
- 電源ボタンを押しても反応しない
- 途中で動作が停止する
機械的トラブル
- 巻き上げ途中で止まる
- 異音(ガリガリ音、キーキー音など)
- ハンドルが重い
- スプールが回らない
表示・機能系トラブル
- カウンターにエラー表示
- 液晶が映らない
- カウンターがずれる
- 学習機能が働かない
トラブルが起こる主な原因
電動リールのトラブルには、以下のような共通する原因があります:
1. バッテリー関連
- バッテリー容量不足
- バッテリー電圧の低下
- 互換性のないバッテリー使用
2. 接続・配線系
- コネクターの接触不良
- ケーブルの断線や損傷
- 端子部分のサビや汚れ
3. メンテナンス不足
- 塩ガミによる動作不良
- グリス切れ
- 内部パーツの摩耗
4. 使用環境
- 海水による腐食
- 高温による部品劣化
- 砂や異物の侵入
トラブル発生時の基本的な対処法
電動リールにトラブルが発生した際は、以下の手順で原因を特定しましょう:
STEP1:基本チェック
- バッテリー残量の確認
- コネクター接続の確認
- 電源コードの損傷チェック
STEP2:症状の詳細確認
- どのタイミングで問題が発生するか
- 異音の種類と発生箇所
- エラー表示の内容
STEP3:段階的対処
- 簡単な対処から試す
- 原因を一つずつ排除
- 改善しない場合は専門店へ
予防のための日常点検ポイント
トラブルを未然に防ぐため、以下の点検を定期的に行いましょう:
使用前チェック
- バッテリー電圧の確認(12V以上)
- コネクター部分の汚れチェック
- ケーブルの損傷確認
- 動作テスト(短時間)
使用中チェック
- 異音の有無
- 巻き上げ力の変化
- カウンター表示の精度
使用後チェック
- 海水での洗浄
- 乾燥状態の確認
- グリス補給の必要性
2.動かない・電源が入らないトラブルの解決法

バッテリー関連のトラブルと対処法
電動リールが動かない最も多い原因はバッテリーのトラブルです。
■ バッテリー電圧不足
症状: 電源ボタンを押しても反応しない、またはすぐに止まる
原因と対処法:
- 鉛バッテリー:電圧が12V以下になると動作不安定
- リチウムイオンバッテリー:13.5V以下で動作停止
- マキタバッテリー:18Vから14V以下で動作に影響
対処法:
- テスターで電圧測定
- 充電または交換
- 予備バッテリーの準備
■ バッテリー容量不足
大物釣りや長時間使用で、バッテリー容量が不足することがあります。
推奨容量:
- 小型電動リール:20Ah以上
- 中型電動リール:33Ah以上
- 大型電動リール:50Ah以上
■ バッテリーの寿命
鉛バッテリーの寿命サイン:
- 充電完了直後でも12V未満
- 使用中の電圧降下が激しい
- 充電時間が異常に短い
リチウムイオンバッテリーの寿命サイン:
- 充電回数300回以上
- 容量が購入時の70%以下
- 異常発熱
電源コード・コネクターの問題解決
■ コネクター接触不良
シマノ・ダイワの取扱説明書でも特に注意喚起されているのがコネクター部分のトラブルです。
主な症状:
- 巻き上げ途中でモーター停止
- 電源が不安定
- 接続しても認識しない
対処法:
-
コネクター清掃
- 綿棒で端子部分を清掃
- サビ取り剤で腐食除去
- 乾燥後にコネクターグリス塗布
-
接続確認
- プラス・マイナスの極性確認
- ネジの締め付け確認
- ワニ口クリップの清掃
■ ケーブル断線
症状確認方法:
- ケーブルを動かしながら動作確認
- テスターで導通チェック
- 外観での損傷確認
応急処置:
- 断線箇所の特定
- 絶縁テープでの補修
- 専用ケーブルへの交換
リール本体の電源トラブル診断
■ セーフティ機能の作動
現代の電動リールには様々な保護機能が搭載されています。
シマノリールの場合:
- 自動復帰ブレーカー:全表示点滅
- バッテリー検出:バッテリーマーク点灯
- 高電圧警告:28V以上で警告表示
ダイワリールの場合:
- 過負荷保護:一定時間後に自動停止
- 低電圧警告:電圧低下で動作制限
- 温度保護:モーター過熱で停止
対処法:
- エラー表示の内容確認
- 5分以上の冷却時間
- バッテリー交換・充電
■ 内部回路のトラブル
症状:
- 全く反応しない
- 表示は出るが動作しない
- 異常な表示
対処法:
- リセット操作の実行
- バッテリーを一度外して再接続
- 改善しない場合は修理依頼
船電源との接続トラブル対策
■ 船電源使用時の注意点
電圧の確認:
- 船電源の電圧測定
- 12V~14.8Vの範囲確認
- 負荷時の電圧降下チェック
接続トラブル対策:
-
端子の清掃
- 船側端子の清掃
- ワニ口クリップの点検
- 接触抵抗の確認
-
配線の確認
- プラス・マイナスの確認
- 他の機器との競合チェック
- ノイズ対策
■ 専用バッテリーの重要性
船電源に頼らず、専用バッテリーを準備することを強く推奨します。
専用バッテリーのメリット:
- 安定した電力供給
- 他の機器の影響を受けない
- 緊急時のバックアップ電源
- 使用場所を選ばない
3.途中で止まる・動作不良のトラブル対策

巻き上げ中の停止トラブル原因と解決法
■ 負荷による停止
症状: 大物が掛かった際や根掛かり時に停止
原因:
- モーターの許容負荷超過
- 自動復帰ブレーカーの作動
- ドラグ設定の問題
対処法:
-
ドラグ調整
- 巻き上げ力の70%程度に設定
- 段階的な巻き上げ
- 手巻きとの併用
-
負荷分散
- ロッドを立てて負荷軽減
- 船の移動で負荷調整
- 休憩を入れながら巻き上げ
■ 電力不足による停止
症状: 途中で急に動かなくなる
チェックポイント:
- バッテリー電圧の確認
- コネクター接続の確認
- ケーブルの発熱確認
対処法:
- バッテリー交換
- 接続部分の清掃・締め直し
- 冷却時間の確保
モーター過熱による停止への対処
■ 過熱の原因
使用環境による過熱:
- 連続使用時間の長さ
- 高負荷での連続巻き上げ
- 高温環境での使用
機械的原因:
- 内部グリス不足
- ベアリングの劣化
- 異物の混入
■ 過熱時の対処法
immediate(即座の対処):
- 使用を即座に停止
- 風通しの良い場所で冷却
- 最低5分以上の休憩
予防策:
- 連続使用時間の制限(15分程度)
- 適度な休憩時間の確保
- 高負荷時の手巻き併用
カウンターエラー表示の対処法
■ 主なエラー表示と対処法
「Err」表示(シマノ):
- セーフティ機能によるエラー
- 糸巻き学習の失敗
- センサー異常
対処法:
- 電源のON/OFF
- 糸巻き学習の再実行
- バッテリー電圧の確認
「学習できません」表示:
- 糸の出し方が不適切
- センサー部分の異物
- 内部回路の異常
対処法:
- 指定量以上の糸出し(1.1m~2.1m)
- センサー部分の清掃
- 正しい手順での再学習
■ カウンターずれの修正
原因:
- 糸巻き学習の不備
- 糸の太さ変更
- スプール交換
修正方法:
-
ゼロセット実行
- 底取り後のゼロ点設定
- カウンター補正機能の活用
-
再学習実行
- 糸を全て巻き取る
- 指定量の糸出し
- 学習ボタンの操作
クラッチ機能の不具合と修理方法
■ クラッチが戻らない
症状: クラッチを切った後、元に戻らない
原因:
- 内部機構の汚れ
- スプリングの劣化
- 潤滑不足
対処法:
-
外部からの対処
- クラッチレバーの清掃
- 可動部への注油
- 数回の操作で動きを確認
-
内部清掃が必要な場合
- 専門店での分解清掃
- 部品交換
- グリスアップ
■ クラッチの効きが悪い
症状: 糸出しが不安定、勝手に止まる
対処法:
- クラッチ調整ネジの調整
- 内部清掃
- 専用グリスの補給
4.異音・振動トラブルの診断と修理

ギア部分からの異音トラブル解決
■ 異音の種類と原因
「ガリガリ」音:
- ギア部分への砂の侵入
- グリス不足による金属摩擦
- ギア歯の摩耗
「キーキー」音:
- ベアリング部分の異常
- 潤滑不足
- 異物の挟み込み
■ ギア系異音の対処法
軽度の場合:
-
外部洗浄
- 真水での十分な洗浄
- 可動部分の動作確認
- 乾燥後のグリス補給
-
注油・グリスアップ
- 指定箇所への適切なグリス塗布
- 過剰給油の回避
- 作動確認
重度の場合:
- 分解清掃の必要性
- 専門店でのオーバーホール
- 部品交換の検討
モーター音の異常診断
■ 正常なモーター音と異常音の区別
正常な音:
- 一定の回転音
- 負荷に応じた音量変化
- 滑らかな音質
異常な音:
- 断続的な音
- 金属的な異音
- 振動を伴う音
■ モーター異音の対処法
電気系統の確認:
- 電圧の安定性確認
- 接続部分の点検
- ブラシ部分の確認
機械系統の確認:
- ベアリング状態
- 内部異物の有無
- 組み立て精度
ベアリング劣化による振動対策
■ ベアリング劣化のサイン
症状:
- 回転時の振動
- 引っかかるような感触
- 回転音の変化
確認方法:
- スプールの手回し確認
- 回転の滑らかさチェック
- 異音の発生位置特定
■ 塩ガミの対処法
シマノ・ダイワの取扱説明書に記載されているS A-RB(シールド耐塩水ベアリング)の塩ガミ対策:
軽度の塩ガミ:
- 真水での洗浄
- ベアリング部分への浸水
- 回転させながらの塩抜き
重度の塩ガミ:
- ベアリング交換
- 専門的な分解清掃
- 予防的メンテナンス
レベルワインダーの不具合修理
■ レベルワインダーの役割と重要性
レベルワインダーは糸の均等巻きを担う重要な部品です。
故障症状:
- 糸の片寄り
- 糸絡み頻発
- 動作しない
■ 故障の原因と対処法
機械的原因:
- ギア部分の摩耗
- 潤滑不足
- 異物の侵入
対処法:
-
清掃・注油
- 可動部分の清掃
- 専用グリスの補給
- 動作確認
-
調整・修理
- 位置調整
- 部品交換
- 専門店での修理
5.メンテナンス不足によるトラブル予防

定期的なグリスアップの重要性
■ グリスアップの必要箇所
シマノリールの場合:
- ケーブル端子の2つの穴
- ウォームシャフト両側
- レベルワインダー可動部
ダイワリールの場合:
- コネクター部分
- ギア噛み合い部
- ベアリング周辺
■ 適切なグリスの選択
電動リール専用グリス:
- シマノ純正リールグリススプレー(SP-023A)
- ダイワ SLPWコネクターグリス501
- ミヤマエ添付グリス
グリスアップの頻度:
- 使用10回ごと
- シーズン開始前
- 長期保管前
塩ガミ・サビ対策とクリーニング方法
■ 効果的な塩抜き方法
基本的な洗浄手順:
-
準備
- ケーブルを外す
- コネクターキャップを装着
- ドラグを締め込む
-
洗浄
- 冷水で外側を洗浄
- スプール軸受け部の洗浄
- クラッチ操作で内部洗浄
-
乾燥
- ドラグを緩める
- 風通しの良い場所で陰干し
- 完全乾燥の確認
■ 塩ガミ予防策
使用後の処理:
- 即座の真水洗浄
- 十分な乾燥時間の確保
- 防錆剤の使用
保管時の注意:
- 湿度の低い場所での保管
- 定期的な動作確認
- 長期保管前のメンテナンス
オーバーホール時期の見極め方
■ オーバーホールが必要なサイン
性能面での変化:
- 巻き上げ力の低下
- 回転の重さ
- 異音の発生
外観での判断:
- 外装の腐食
- 可動部分の動作不良
- 液晶表示の異常
■ オーバーホール頻度の目安
使用頻度別:
- 週1回使用:年1回
- 月数回使用:2年に1回
- 年数回使用:3年に1回
使用環境別:
- 船釣りメイン:年1回
- 堤防・磯釣り:2年に1回
- 淡水使用:3年に1回
■ オーバーホール費用の目安
メーカー・機種別費用:
- シマノ小型機種:8,000~12,000円
- シマノ中・大型機種:12,000~20,000円
- ダイワ小型機種:8,000~12,000円
- ダイワ中・大型機種:12,000~18,000円
保管方法とトラブル予防策
■ 適切な保管方法
短期保管(1週間~1ヶ月):
- 真水での洗浄・乾燥
- グリス補給
- 乾燥した場所での保管
長期保管(オフシーズン):
- 完全分解清掃(推奨)
- グリス・オイルの補給
- 防湿庫での保管
- 定期的な動作確認
■ 保管時の注意点
避けるべき環境:
- 高温多湿の場所
- 直射日光の当たる場所
- 温度変化の激しい場所
推奨保管環境:
- 温度:15~25℃
- 湿度:50~60%
- 風通しの良い場所
■ シーズン開始前の点検
動作確認項目:
- 電源投入確認
- 各機能の動作確認
- 異音・振動の有無
- カウンター精度確認
メンテナンス項目:
- 外観清掃
- グリス・オイル補給
- ケーブル・コネクター点検
- バッテリー性能確認
まとめ:トラブル知らずの電動リール運用のために
電動リールのトラブルは、その90%以上が適切なメンテナンスと正しい使用方法で予防できます。
トラブル予防の3つの柱:
-
バッテリー管理の徹底
- 適切な容量と電圧の維持
- 定期的な充電・交換
- 予備バッテリーの準備
-
コネクター・ケーブルのメンテナンス
- 使用後の清掃
- コネクターグリスの定期補給
- 接続状態の確認
-
定期的なオーバーホール
- 使用頻度に応じたメンテナンス
- 専門店での点検
- 予防的な部品交換
これらのポイントを実践することで、電動リールを長期間快適に使用できます。トラブルが発生した際は、まず基本的な確認から始めて、段階的に原因を特定していきましょう。
重要なのは、無理な修理は避けて、専門店に相談する判断力です。適切なメンテナンスにより、電動リールは釣りの心強いパートナーとして長く活躍してくれるでしょう。
最後に: 電動リールのトラブルでお困りの際は、まずこのガイドの手順を試してみてください。それでも解決しない場合は、お早めに信頼できる釣具店にご相談されることをお勧めします。
本記事の情報は2025年1月時点のものです。機種により詳細が異なる場合があります。正確な情報については各メーカーの取扱説明書をご確認ください。