船釣りを始めるなら、電動リールは必須のアイテムです。しかし「どれを選んでいいかわからない」「高そうで手が出ない」という方も多いでしょう。この記事では、釣り具店での豊富な経験を基に、電動リールの基礎知識から失敗しない選び方、初心者におすすめの機種まで詳しく解説します。
この記事を読めば:
- 電動リールの仕組みと必要性がわかる
- 自分に合った電動リールを選べるようになる
- 予算に応じたおすすめ機種がわかる
- 必要な周辺機器も一緒に揃えられる
1.電動リールとは?基礎知識と仕組み

電動リールの定義と船釣りでの役割
電動リールとは、モーターの力で巻き上げを行う船釣り専用のリールです。手巻きのリールとは異なり、電気の力で重いオモリや大型魚を楽に巻き上げることができます。
船釣りでは以下のような場面で電動リールが威力を発揮します:
- 深場釣り:100m以上の水深からの巻き上げ
- 重いオモリ:150g以上のオモリを使用する釣り
- 大型魚対応:ブリやマダイなど引きの強い魚
- 連続釣行:一日中釣りを続ける際の疲労軽減
手巻きリールとの違いとメリット
| 項目 | 電動リール | 手巻きリール |
|---|---|---|
| 巻き上げ力 | モーターによる強力な巻き上げ | 腕力に依存 |
| 疲労度 | 軽減される | 疲れやすい |
| 対応水深 | 深場も楽々 | 浅場向き |
| 価格 | 高価(3万円~) | 安価(数千円~) |
| メンテナンス | 定期的な手入れが必要 | 比較的簡単 |
電動リールの主なメリット:
- 疲労軽減により長時間の釣りが可能
- 深場や大物釣りに対応
- 正確な水深管理ができる
- 巻き上げ速度の調整が可能
電動リールの構造と基本機能
電動リールは以下の主要部品で構成されています:
1. モーター部
- リールの心臓部分
- 巻き上げ力の源
- 消費電力に直結
2. カウンター機能
- 糸の出た長さを表示
- 水深管理に必須
- デジタル表示が主流
3. レベルワインダー
- 糸を均等に巻き取る装置
- 糸絡みを防止
4. ドラグ機能
- 魚の引きに対する調整
- 糸切れを防ぐ
5. 電源コネクター
- バッテリーや船電源との接続部
- 防水仕様が重要
主要メーカー(シマノ・ダイワ)の特徴
シマノの特徴:
- フォースマスター、プレイズ、ビーストマスターが主力
- 高い信頼性と耐久性
- カウンター精度に定評
- 豊富なラインナップ
ダイワの特徴:
- シーボーグ、レオブリッツが主力
- 革新的な技術(MAGMAXモーターなど)
- 軽量化に注力
- デザイン性も重視
電動リールが活躍する釣りシーン
近海釣り(~100m)
- タチウオテンヤ
- アジ・イサキ五目
- タイラバ
- ビシアジ
中深場釣り(100~300m)
- マダイ釣り
- 根魚五目
- イサキ釣り
- アマダイ釣り
深場釣り(300m~)
- キンメダイ釣り
- アカムツ釣り
- 深海の高級魚狙い
大物釣り
- ブリ・ヒラマサジギング
- マグロキャスティング
- GT(ジャイアントトレバリー)
2.電動リール選びの基本ポイント

番手(サイズ)の選び方と対象魚の目安
電動リールの番手は対象魚と釣り場の水深で決まります。
小型(200~600番)
- 対象魚:アジ、イサキ、タチウオ、小型マダイ
- 水深:~100m
- 重量:400~500g
- 特徴:軽量で扱いやすい
中型(800~3000番)
- 対象魚:マダイ、ブリ、ヒラマサ、根魚
- 水深:100~300m
- 重量:500~700g
- 特徴:汎用性が高い(初心者におすすめ)
大型(4000番~)
- 対象魚:大型青物、深海魚、マグロ
- 水深:300m~
- 重量:700g~
- 特徴:パワフルだが重い
巻き上げ力(パワー)の見方と必要性
実用巻き上げ力の目安:
- 5kg以下:近海の小物釣り
- 5~15kg:中深場の五目釣り
- 15~25kg:大物・深場釣り
- 25kg以上:超大物・超深場
パワーを決める要因:
- オモリの重さ
- 水深
- 対象魚のサイズ
- 潮の速さ
例:水深200mでオモリ80gの場合、実用巻き上げ力10kg程度が必要
糸巻き量とPEラインの適合性
PEライン号数と巻き量の関係:
| 番手 | PE1号 | PE2号 | PE3号 | PE4号 |
|---|---|---|---|---|
| 200~600 | 200~300m | 150~200m | 100~150m | - |
| 800~1000 | 400~500m | 300~400m | 200~300m | 150~200m |
| 2000~3000 | 600~800m | 500~600m | 400~500m | 300~400m |
選び方のポイント:
- 水深の1.5~2倍の糸巻き量を確保
- 号数は対象魚に応じて選択
- 下巻きでコストを抑える
カウンター機能と精度の重要性
カウンター機能の重要性:
- 正確な水深管理
- 魚の居る棚の把握
- 仕掛けの位置確認
精度向上のポイント:
- 定期的なゼロセット
- 適正なライン径の使用
- メンテナンスでの精度維持
デジタルカウンター機能:
- 水深表示
- 巻き上げ速度表示
- 船べり停止機能
- 学習機能(一部機種)
価格帯別の性能差と予算の決め方
エントリーモデル(3~5万円)
- 基本機能は十分
- 近海釣りに最適
- コストパフォーマンス重視
ミドルクラス(6~10万円)
- 高性能モーター搭載
- 多機能カウンター
- 幅広い釣りに対応
ハイエンドモデル(10万円~)
- 最新技術搭載
- 軽量化実現
- プロ仕様の性能
予算設定の考え方:
- 釣行頻度を考慮
- 主なターゲットを明確に
- 長期使用を見据えた投資
3.初心者におすすめの電動リール15選

エントリーモデル(3~5万円台)の厳選機種
1. シマノ プレイズ600
- 実売価格:約35,000円
- 自重:470g
- 実用巻き上げ力:5kg
- PE糸巻き量:2号300m
- おすすめ用途:タチウオ、アジ、イサキ
2. ダイワ レオブリッツ200J
- 実売価格:約32,000円
- 自重:480g
- 実用巻き上げ力:8.5kg
- PE糸巻き量:2号300m
- おすすめ用途:近海五目、ライトジギング
3. シマノ フォースマスター200
- 実売価格:約38,000円
- 自重:395g
- 実用巻き上げ力:5kg
- PE糸巻き量:1号270m
- おすすめ用途:軽量重視の近海釣り
4. ダイワ シーボーグ100J
- 実売価格:約34,000円
- 自重:375g
- 実用巻き上げ力:7kg
- PE糸巻き量:1.5号200m
- おすすめ用途:ワカサギ、小物釣り
5. シマノ フォースマスター600
- 実売価格:約42,000円
- 自重:490g
- 実用巻き上げ力:10kg
- PE糸巻き量:2号300m
- おすすめ用途:タイラバ、五目釣り
中級者向け(6~10万円台)のバランス型機種
6. シマノ フォースマスター800
- 実売価格:約65,000円
- 自重:520g
- 実用巻き上げ力:12kg
- PE糸巻き量:3号400m
- おすすめ用途:マダイ、青物ジギング
7. ダイワ シーボーグ300J
- 実売価格:約68,000円
- 自重:495g
- 実用巻き上げ力:15kg
- PE糸巻き量:3号300m
- おすすめ用途:中深場五目、根魚
8. シマノ プレイズ1000
- 実売価格:約75,000円
- 自重:550g
- 実用巻き上げ力:15kg
- PE糸巻き量:3号500m
- おすすめ用途:汎用性重視の中型
9. ダイワ レオブリッツ300J
- 実売価格:約58,000円
- 自重:510g
- 実用巻き上げ力:12kg
- PE糸巻き量:3号350m
- おすすめ用途:コスパ重視の中型
10. シマノ フォースマスター1000
- 実売価格:約78,000円
- 自重:580g
- 実用巻き上げ力:18kg
- PE糸巻き量:4号400m
- おすすめ用途:大物狙い、深場釣り
小型軽量モデルの人気機種
11. ダイワ シーボーグ150J
- 実売価格:約45,000円
- 自重:350g
- 実用巻き上げ力:6kg
- PE糸巻き量:1号200m
- 特徴:超軽量でワカサギに最適
12. シマノ プレイズ400
- 実売価格:約48,000円
- 自重:420g
- 実用巻き上げ力:8kg
- PE糸巻き量:2号250m
- 特徴:バランスの良い小型機種
中型汎用モデルの定番機種
13. シマノ プレイズ3000
- 実売価格:約95,000円
- 自重:650g
- 実用巻き上げ力:20kg
- PE糸巻き量:4号600m
- 特徴:一台で何でもこなせる万能機
14. ダイワ シーボーグ500J
- 実売価格:約88,000円
- 自重:595g
- 実用巻き上げ力:18kg
- PE糸巻き量:4号500m
- 特徴:MAGMAXモーター搭載の高性能機
大型パワーモデルの最新機種
15. シマノ ビーストマスター6000
- 実売価格:約120,000円
- 自重:950g
- 実用巻き上げ力:35kg
- PE糸巻き量:6号800m
- 特徴:大型青物・深海魚対応の最強機種
4.電動リール運用に必要な周辺機器

バッテリーの選び方と必要容量
電動リール用バッテリーは必須アイテムです。船の電源だけでは不安定な場合があります。
バッテリーの種類:
1. 鉛バッテリー
- 価格:15,000~25,000円
- 容量:12Ah~22Ah
- 特徴:大容量で安価、重い
2. リチウムイオンバッテリー
- 価格:30,000~60,000円
- 容量:9Ah~15Ah
- 特徴:軽量コンパクト、高価
3. マキタ互換バッテリー
- 価格:10,000~20,000円
- 容量:3Ah~6Ah
- 特徴:汎用性が高い、軽量
容量の目安:
- 小型リール:6~9Ah
- 中型リール:9~15Ah
- 大型リール:15Ah~
専用ロッドの選定ポイント
電動リール専用ロッドの特徴:
- リールシートがバッテリーコードに対応
- 適度な調子で魚の引きを吸収
- 電動リールの重量に対応した設計
長さの選び方:
- 1.6~1.8m:船上での取り回し重視
- 1.8~2.1m:遠投性能も欲しい場合
- 2.1m~:大型魚・長時間ファイト用
調子の選び方:
- 7:3調子:感度重視、繊細な釣り
- 6:4調子:バランス型、汎用性高い
- 5:5調子:パワー重視、大物狙い
PEラインの号数と巻き方のコツ
号数選択の基準:
| 対象魚 | PE号数 | 強度 |
|---|---|---|
| アジ・イサキ | 1~1.5号 | 4~6kg |
| タチウオ・小鯛 | 1.5~2号 | 6~8kg |
| マダイ・根魚 | 2~3号 | 8~12kg |
| 青物・大物 | 3~4号 | 12~16kg |
巻き方のコツ:
- 下巻きで容量調整
- 適度なテンションで巻く
- レベルワインダーを活用
- 定期的な巻き直し
おすすめPEライン:
- YGK よつあみ G-soul X8
- サンライン シグロン PE X8
- デュエル ハードコア X8
接続コードとメンテナンス用品
必須の接続用品:
1. 電源コード
- バッテリーとリールを接続
- 長さ:1.5~2mが使いやすい
- 6芯タイプが主流
2. バッテリーケース
- 防水・防塵対策
- 運搬時の保護
- 船上での固定
3. コネクターグリス
- 接点の腐食防止
- 定期的な塗布が必要
- シマノ・ダイワ純正品推奨
メンテナンス用品:
- 真水での洗浄用ホース
- ドライヤー(乾燥用)
- オイル・グリス
- 清掃用ブラシ
初心者が最初に揃えるべきアイテム一式
基本セット(予算10~15万円)
- 電動リール:シマノ プレイズ600(35,000円)
- 専用ロッド:汎用電動ロッド 1.8m(15,000円)
- PEライン:2号300m(3,000円)
- バッテリー:リチウムイオン12Ah(40,000円)
- 電源コード:2m 6芯(8,000円)
- バッテリーケース:防水ケース(5,000円)
- リーダー・仕掛け:各種(5,000円)
推奨セット(予算15~20万円)
- 電動リール:シマノ フォースマスター800(65,000円)
- 専用ロッド:高性能電動ロッド 1.8m(25,000円)
- PEライン:3号400m(4,000円)
- バッテリー:リチウムイオン15Ah(50,000円)
- 電源コード:高品質2m 6芯(12,000円)
- バッテリーケース:高級防水ケース(8,000円)
- リーダー・仕掛け・小物:各種(10,000円)
購入時のアドバイス:
- 釣具店での実機確認を推奨
- セット購入での割引交渉
- アフターサービスの確認
- 保証期間の把握
まとめ
電動リールは船釣りの可能性を大きく広げてくれる素晴らしい道具です。初心者の方は以下のポイントを押さえて選択しましょう:
選び方の要点:
- 主な釣り物を明確にする
- 予算に応じたクラスを選ぶ
- 信頼できるメーカー品を選ぶ
- 必要な周辺機器も一緒に揃える
初心者におすすめの組み合わせ:
- リール:シマノ プレイズ600またはフォースマスター800
- バッテリー:リチウムイオン12~15Ah
- ロッド:1.8m前後の専用ロッド
- ライン:PE2~3号
適切な電動リールを選んで、快適で充実した船釣りライフを楽しんでください。わからないことがあれば、釣具店のスタッフに相談することをおすすめします。