電動リールを使った船釣りで「カウンターの数値と実際の水深が合わない」「ラインマーカーとずれてきた」といった経験はありませんか。カウンターのずれは正確な棚取りを妨げ、釣果に直結する重大な問題です。
この記事では、電動リールのカウンターがずれる原因から、シマノとダイワそれぞれの具体的な補正方法、さらに日常的な予防策まで、実釣経験に基づいて詳しく解説します。
1. 電動リールのカウンターがずれる原因とは

電動リールのカウンターがずれる原因を理解することで、適切な対処ができるようになります。ここでは主な原因を詳しく見ていきましょう。
糸巻き学習の精度による誤差
電動リールのカウンターは、糸巻き学習によってPEラインの太さや巻き量を記憶し、スプールの回転数から水深を計算しています。この糸巻き学習時のテンションが不均一だったり、学習方法を間違えたりすると、最初から誤差が生じてしまいます。
メーカーの取扱説明書によれば、糸巻き学習後の誤差は最大で±3%程度発生する可能性があります。つまり100mの水深で最大3mのずれが生じる計算になります。この初期誤差は避けられないものですが、正しい学習方法を実施することで最小限に抑えることができます。
ラインの伸縮や劣化によるずれ
PEラインは吸水性が低く伸びにくい素材ですが、それでも使用中にわずかな伸縮が発生します。特に大物とのやり取りで強いテンションがかかった後は、ラインが伸びた状態でスプールに巻き取られ、カウンターのずれが大きくなります。
またPEラインは使用を重ねると劣化し、毛羽立ちや太さの変化が生じます。この変化もカウンターのずれの原因となります。特に100回以上使用したラインでは、新品時と比べて太さが変わっていることが多く、カウンター精度に影響を与えます。
巻き取りテンションの変化
釣行中、仕掛けを回収する際のテンションは毎回異なります。軽い仕掛けを巻き上げる時と、大物を掛けて強いテンションで巻き上げる時では、スプールに巻かれるラインの密度が変わってしまいます。
テンションが強いとラインは締まって巻かれ、スプール径が小さくなります。逆にテンションが弱いとラインは緩く巻かれ、スプール径が大きくなります。このスプール径の変化が、カウンター表示と実際の水深のずれを引き起こします。
船べり停止位置のずれ
シマノ・ダイワともに船べり自動停止機能を搭載していますが、この停止位置は巻き上げ時のテンションによってずれることがあります。メーカーの注意事項にも記載されているように、大物を強いテンションで巻き上げた直後は特にずれやすくなっています。
船べり停止位置がずれると、次回の投入時からカウンター表示と実際の水深に差が出てしまい、それが蓄積されていきます。また、停止位置のずれが大きくなると仕掛けを穂先に巻き込んでしまい、竿を破損する危険性もあります。
2. カウンターずれが釣果に与える影響

カウンターのずれは単なる表示の問題ではありません。実際の釣りにおいて深刻な影響を及ぼします。
正確な棚取りができなくなる
船釣りにおいて棚取りは釣果を左右する最重要要素です。船長から「底から5m」と指示があった場合、カウンターが2mずれていれば、実際には底から3mか7mになってしまいます。
この2mの差は魚の活性が高い時はあまり問題になりませんが、渋い状況では致命的です。特にタチウオやアカムツなど、タナに敏感な魚種では、わずか1mのずれでアタリが出なくなることもあります。
タナボケによるチャンス損失
釣り用語で「タナボケ」とは、狙うべき水深から外れてしまうことを指します。カウンターがずれた状態で釣りを続けると、自分では正しい棚で釣っているつもりでも、実際には魚がいない層で仕掛けを漂わせていることになります。
周りの釣り人が釣れているのに自分だけ釣れない、という状況の多くは、このタナボケが原因です。特に深場の釣りでは、カウンターのずれが5m以上になることもあり、完全に魚のいる層から外れてしまいます。
仕掛けの損傷リスク
カウンターがずれると、底取りの際に根掛かりのリスクが高まります。「底から3m」のつもりで仕掛けを下ろしても、実際には底に着いてしまい、高価な仕掛けをロストすることになります。
また、巻き上げ時に船べり停止位置がずれていると、仕掛けを竿の穂先まで巻き込んでしまい、穂先を折るトラブルも発生します。特に夜釣りでは視認性が悪く、気づかないうちに巻き込んでしまうことがあるので注意が必要です。
3. シマノ電動リールの糸巻き学習補正方法

シマノの電動リールには「糸巻き学習補正」機能が搭載されており、実釣中に生じたカウンターのずれを簡単に補正できます。
メニュー画面からの補正手順
最も確実な補正方法は、メニュー画面から行う方法です。以下の手順で操作します。
- MENUボタンを3秒以上押してメニュー画面を表示します
- ▼ボタンを数回押して「糸巻補正」を選択します
- 決定ボタンを押すと補正モードに入ります
この方法の利点は、メニュー画面で確認しながら確実に補正できることです。釣りに慣れていない方や、初めて補正する方にはこの方法をおすすめします。
ボタン操作による簡単補正
釣行中に素早く補正したい場合は、ボタン同時押しによる方法が便利です。
- MENUボタンと▲ボタンを両方同時に3秒以上押します
- 「ピピッ」というアラーム音が鳴り、補正モードに入ります
この方法は操作が簡単で、釣りの合間に素早く補正できるのが特徴です。ただし、誤操作を避けるため、確実に両方のボタンを同時に押す必要があります。
ラインマーカーを使った正確な調整
補正の精度を高めるには、PEラインのマーカーを活用します。
カウント値が10m以上の時に補正が有効になりますので、まず仕掛けを10m以上投入します。そして、ラインマーカーの色が変わる位置(10m単位)に合わせて補正を行います。
具体的には、現在の水深表示を切りのいい数値(小数点以下を0)に合わせます。例えば、カウンターが「29.5m」と表示されている時に、ラインマーカーでは30mの位置にある場合、補正ボタンを押すことで「30.0m」に調整されます。
100mを超える深場では、例えば199mから200mに変わる位置で補正すると、より正確な補正が可能です。深場ほどずれの影響が大きいため、こまめな補正が重要になります。
補正のベストタイミング
カウンター補正は以下のタイミングで実施するのが効果的です。
釣り開始時:最初の投入でラインマーカーとのずれを確認し、必要があれば補正します。
大物を掛けた後:強いテンションでラインを巻き上げた後は、ラインが伸びてカウンターがずれやすくなります。次の投入前に補正を行いましょう。
釣行中盤:2〜3時間ごとにラインマーカーとの差を確認し、1m以上ずれている場合は補正します。
棚が変わった時:船長からの指示で狙う棚が変わった際、正確な棚取りのために補正しておくと安心です。
4. ダイワ電動リールのカウンター補正方法

ダイワの電動リールもシマノと同様に補正機能を持っていますが、操作方法や仕様が若干異なります。
ダイワ独自の補正機能
ダイワの電動リールには「カウンター補正」機能が搭載されています。この機能は、実釣中に生じたカウンターのずれをリアルタイムで補正できる便利な機能です。
ダイワのカウンター表示は、糸巻き学習時の実測値を基準にしているため、シマノと比べて初期誤差が少ないという特徴があります。ただし、使用中のずれについては同様に発生するため、定期的な補正が必要です。
実釣中の簡易補正テクニック
ダイワの電動リールでは、メニュー画面から補正機能にアクセスできます。機種によって操作方法が異なりますが、基本的な流れは以下の通りです。
- メニューボタンを押してメニュー画面を表示
- 「カウンター補正」または「糸巻補正」を選択
- 現在の水深とラインマーカーを照合
- 正しい数値に補正
実釣中は、ラインマーカーの色が変わる10m単位のポイントで補正するのが最も簡単で正確です。
0セットの正しいやり方
ダイワの電動リールで最も重要な機能が「0セット」です。0セットは、仕掛けが水面にある状態でカウンターを0mにリセットする操作です。
基本的な0セットの手順
- 仕掛けを水面まで巻き上げます
- 仕掛けを水面に合わせた状態で0セットボタンを3秒以上押します
- 「ピピッ」というアラーム音が鳴り、カウンターが0.0mになります
0セット時の注意点
ダイワの取扱説明書にも記載されていますが、大物を強いテンションで巻き上げた直後は0セットを実施しないようにしてください。強いテンションでラインが伸びた状態で0セットすると、次回投入時にカウンターのずれが大きくなり、仕掛けを穂先に巻き込む危険があります。
また、水深表示が10m未満で0セットを行うと、糸巻き学習は補正されないため、ライン残量表示が更新されません。正確な補正を行うには、10m以上の水深で実施することが推奨されています。
高切れ補正機能
ダイワの電動リールには、高切れした際の補正機能も用意されています。水深表示が10.1m以上の状態で0セットを行うと、自動的に高切れ補正モードになり、切れた位置からの実測値表示に切り替わります。
ただし、高切れ補正を行う前に道糸を巻き込んでしまうと、糸巻き学習が不正確になるため注意が必要です。
5. カウンターずれを予防する日常メンテナンス

カウンターのずれを最小限に抑えるには、日頃のメンテナンスと正しい使い方が重要です。
PEラインの適切な巻き方
PEラインを巻く際のテンションは、カウンター精度に大きく影響します。糸巻き学習時は、取扱説明書に記載されている「テンション3」を目安に、一定のテンションを保ちながら巻くことが重要です。
テンションが強すぎるとラインが締まりすぎ、弱すぎると緩く巻かれてしまいます。どちらもカウンターのずれの原因になるため、専用のテンションアジャスターの使用をおすすめします。
巻き方のポイント
- 一定のテンションを保つ
- ラインをスプールに均等に配置する
- 最後までラインを巻き込まない(巻き込むとカウンター誤差の原因)
- 10m巻くごとに一度確認する
市販のテンションアジャスターを使用すると、誰でも簡単に適切なテンションでPEラインを巻くことができます。特にPE4号以上の太いラインでは、テンションアジャスターの使用が効果的です。
下巻きの重要性と調整方法
下巻きは、スプールの容量調整だけでなく、カウンター精度の向上にも役立ちます。下巻きを入れることで、PEライン部分の巻き径を安定させ、カウンターのずれを軽減できます。
下巻きの選び方
- PE2号200mを巻く場合:下巻き推奨
- PE3号100m以上:スプールの下巻きライン使用推奨
- 使用するPEラインの量に応じて適切な下巻き量を調整
下巻きを行う場合も、上巻きと同様に一定のテンションで巻くことが重要です。下巻き学習機能を使えば、リールが自動的に下巻きとPEラインの境界を認識してくれます。
定期的な糸巻き学習の実施
PEラインは使用を重ねると劣化し、太さや質感が変化します。このため、定期的に糸巻き学習をやり直すことで、カウンター精度を維持できます。
糸巻き学習の実施タイミング
- ラインを新品に交換した時(必須)
- 20回以上の釣行後
- カウンターのずれが頻繁に発生するようになった時
- シーズン開始前のメンテナンス時
糸巻き学習は手間がかかりますが、カウンター精度を保つためには欠かせない作業です。特にライン交換後は、必ず糸巻き学習を実施してください。
ラインの交換時期の見極め
PEラインの劣化は、カウンターのずれだけでなく、ラインブレイクのリスクも高めます。以下のサインが見られたら、ラインの交換を検討しましょう。
交換が必要なサイン
- 毛羽立ちが目立つ
- 色あせが激しい
- 触った感触がゴワゴワしている
- ラインマーカーが薄くなって見えにくい
- 使用回数が50回を超えた
特に船釣りでは、船底や岩などにラインが擦れることが多く、陸からの釣りよりも早く劣化します。安全面とカウンター精度の両面から、定期的なライン交換を心がけましょう。
6. 釣行前の確認とトラブル対処法

釣行を成功させるには、事前の準備と現場でのトラブル対応が重要です。
出船前のカウンター精度チェック
釣行前には、必ず以下の項目をチェックしましょう。
電源投入時の確認
電源を入れた直後、カウンターに英数字が2秒間表示されます。これは機種の識別表示で、故障ではありません。正常に起動すれば水深画面が表示されます。
動作確認の手順
- バッテリーを接続して電源を投入
- クラッチをONにしてスプールが固定されることを確認
- 電動巻き上げボタンを押して、モーターが正常に動作するか確認(1.1m以上糸が出ている必要があります)
- カウンター表示が正常に変化するか確認
船べり停止位置の確認
初回投入時は、シマノの場合6m、ダイワの場合は設定による位置で自動停止します。2回目以降は、前回停止させた位置を記憶して自動停止するため、意図しない位置で停止する場合は設定を確認してください。
実釣中のずれ発生時の応急処置
釣りの最中にカウンターのずれに気づいた場合の対処法です。
ラインマーカーとの差が1〜2mの場合
糸巻き学習補正機能を使って、その場で補正します。10m単位のマーカー位置で補正すれば、すぐに正確な棚取りができるようになります。
ずれが3m以上の場合
ずれが大きい場合は、一度0セット(またはリセット)を行い、改めて底取りからやり直すのが確実です。ただし、前述の通り、大物を掛けた直後は避けてください。
緊急時の対応
カウンターが完全に狂ってしまった場合は、ラインマーカーを目視で確認しながら釣りを続けます。PEラインのマーカーは10mごとに色が変わるため、色の変化を数えれば水深の把握は可能です。
よくあるトラブルと解決方法
トラブル1:カウンターにErrの文字が表示される
これはセーフティ機能に基づくエラーメッセージです。過負荷や異常を検知した場合に表示されます。一度電源を切り、問題がないか確認してから再起動してください。
トラブル2:巻き上げ中にモーターが停止する
電源コネクターのネジがしっかり締まっているか確認してください。また、コネクター部分の錆も通電不良の原因になります。錆を落としてから接続し直してください。バッテリー容量不足の可能性もあるため、充電状態も確認しましょう。
トラブル3:電動リールから変な音がする
デジタルカウンター内部のコンデンサーが、不安定な電源下で振動して音が出ることがあります。これはリール機能には影響しないため、安心して使用できます。ただし、明らかに異常な音がする場合は、使用を中止して点検に出してください。
トラブル4:船べり停止位置が大きくずれる
大物を掛けた後や、強いテンションで巻き上げた後は、停止位置がずれやすくなります。0セットで補正するか、メニューから船べり停止位置を任意設定し直してください。
電動リールのカウンターは、正しく使えば非常に正確な棚取りを可能にしてくれる優れた機能です。定期的なメンテナンスと適切な補正を行うことで、カウンターのずれを最小限に抑え、快適な船釣りを楽しむことができます。
カウンターのずれに悩んでいた方は、ぜひこの記事で紹介した方法を実践してみてください。正確な棚取りができるようになれば、釣果は必ず向上するはずです。