船釣りで活躍する電動リールには、さまざまな便利機能が搭載されています。その中でも、タチウオやアカムツなど警戒心の強い魚を狙うときに威力を発揮するのが「微速巻き」機能です。
この記事では、電動リールの微速巻き機能について、基本的な仕組みから実践的な使い方まで詳しく解説していきます。これから電動リールを購入する方、すでにお持ちの方も、ぜひ参考にしてください。
1.電動リールの微速巻き機能とは?

微速巻き機能の基本的な仕組み
微速巻きとは、電動リールのモーターを極めて遅い速度で制御し、ゆっくりとラインを巻き取る機能のことです。通常の電動巻き上げよりもはるかに遅いスピードで、繊細な誘いをかけることができます。
この機能は電子制御によって実現されており、モーターの回転数を細かく調整することで、手巻きでは難しい一定の超低速巻きを可能にしています。メーカーによっては「超スロー巻き上げ」「スローモード」などの名称で呼ばれることもあります。
通常巻きとの速度の違い
通常の電動巻き上げは、深場から仕掛けを効率よく回収するため、毎分100メートル以上の高速巻き上げが可能です。一方、微速巻きは毎分数メートル程度の極めて遅い速度に設定されています。
この速度差は、魚に与える違和感の大きさに直結します。高速巻きでは仕掛けが不自然に動いてしまいますが、微速巻きなら魚が違和感を覚えにくく、自然な誘いをかけることができるのです。
電子制御による精密な速度調整
最新の電動リールでは、デジタル制御によって巻き上げ速度を細かく調整できます。機種によっては、微速巻きの速度を数段階から選択できるものもあり、対象魚や状況に応じて最適な速度を選ぶことが可能です。
また、一度設定した速度を記憶する機能を持つモデルもあり、同じ釣り方を繰り返す際に便利です。電子制御ならではの安定した速度維持も、微速巻きの大きな特徴といえるでしょう。
微速巻きが搭載されている電動リールの種類
微速巻き機能は、主に中型から大型の電動リールに搭載されています。シマノのフォースマスターやプレイズシリーズ、ダイワのシーボーグシリーズなど、各メーカーの上位モデルに多く見られます。
また、ミヤマエなどの専門メーカーも「超スロー巻き上げ」機能を搭載した機種をラインナップしており、タチウオやアカムツ釣りを本格的に楽しみたい方から高い支持を得ています。購入前に、目的の釣りに適した微速巻き機能があるか確認することをおすすめします。
2.微速巻き機能の主なメリット

タチウオやアカムツなど警戒心が強い魚に効果的
微速巻きが最も威力を発揮するのは、タチウオやアカムツ(ノドグロ)など、警戒心が強い魚を狙う場面です。これらの魚は仕掛けの不自然な動きに敏感で、速く巻きすぎると警戒して口を使わなくなってしまいます。
微速巻きを使えば、エサや仕掛けがゆっくりと自然に動くため、魚に警戒心を与えにくくなります。特に深場から浮上させる際、ゆっくりとした速度で誘い上げることで、魚が追いやすく、バイトチャンスが格段に増えるのです。
違和感を与えずに誘いをかけられる
通常の手巻きでは、どうしても巻き速度にムラが出てしまいます。また、一定の超低速を維持し続けることは非常に難しく、集中力も必要です。
微速巻き機能を使えば、電子制御によって完全に一定の速度で巻き続けることができます。この安定した動きが、魚に違和感を与えることなく、自然な誘いを演出してくれます。手が疲れることもなく、長時間安定した誘いをかけられる点も大きなメリットです。
繊細なアタリを感じ取りやすい
微速巻きでゆっくりと仕掛けを動かすと、魚のアタリを感じ取りやすくなります。高速で巻いているときは気づきにくい小さな前アタリも、微速巻きならしっかりと竿先に伝わってきます。
また、魚がエサを咥えてから本アタリが出るまでの時間的余裕も生まれるため、確実なフッキングにつながります。特にアカムツなど、口が柔らかい魚を狙う際には、この繊細なアタリの取りやすさが釣果を大きく左右します。
バラシを軽減できる巻き上げ速度
魚を掛けた後も、微速巻きは効果を発揮します。急激に巻き上げると魚が暴れて針が外れやすくなりますが、ゆっくりと巻き上げれば魚を落ち着かせながら取り込むことができます。
特に深場から巻き上げる際、魚体に急激な水圧変化がかかると、浮き袋が膨張してバラシの原因になることがあります。微速巻きで時間をかけて巻き上げることで、こうしたトラブルを減らし、確実なキャッチ率向上につながるのです。
食わせの間を作れる絶妙なスピード
微速巻きの速度は、魚が追いかけて食いつくのに最適なスピードに設定されています。速すぎず遅すぎない、まさに「食わせの間」を作り出せる絶妙な速度です。
魚は本能的に、ゆっくりと逃げていく獲物に興味を示します。微速巻きによる自然な動きが、魚の捕食本能を刺激し、思わず口を使わせる効果があるのです。特に活性が低い状況や、魚がスレている場面で、この機能の真価が発揮されます。
3.微速巻き機能の効果的な使い方

タチウオ釣りでの実践的な使い方
タチウオ釣りで微速巻きを使う際は、まず底付近まで仕掛けを下ろし、そこから微速巻きでゆっくりと誘い上げます。タチウオは中層付近を回遊していることが多いため、底から10メートルほど巻き上げたところでアタリが集中することがよくあります。
微速巻きの速度は、毎分3〜5メートル程度が基本です。あまりに遅すぎると仕掛けが潮に流されてしまうため、その日の潮の速さに応じて調整しましょう。アタリがあったら、すぐに巻き上げを止めて食い込ませる時間を作ることも重要です。
また、タチウオテンヤなど軽い仕掛けを使う場合は、微速巻きとの相性が抜群です。ゆっくりとした速度でテンヤがヒラヒラと動く様子が、タチウオの捕食本能を強く刺激します。
アカムツ(ノドグロ)狙いでの活用法
アカムツは深海に生息する高級魚で、非常に繊細な魚です。微速巻きはアカムツ釣りにおいて必須といえる機能です。
底を取ったら、まず1〜2メートルほど微速巻きで誘い上げます。アカムツは底付近にいることが多いため、あまり高く誘い上げる必要はありません。むしろ、底スレスレをゆっくりと這わせるようなイメージで誘うのが効果的です。
アカムツは口が柔らかいため、強く合わせるとバラシの原因になります。微速巻き中にアタリがあったら、そのまま巻き続けて向こう合わせにするか、軽く竿を立てる程度の合わせで十分です。
イカメタルゲームでの応用テクニック
イカメタルでも、微速巻きは有効です。イカは視覚が優れているため、不自然な動きをするとすぐに見切られてしまいます。
スッテやエギを底まで沈めたら、微速巻きでゆっくりと持ち上げます。1〜2メートル巻き上げたら一時停止し、再び微速巻きを繰り返すパターンが基本です。このストップ&ゴーの動きが、イカの好奇心を刺激します。
また、イカは抱いてから離すまでの時間が長いため、微速巻きでゆっくりと巻き上げることで、しっかりと抱かせてから取り込むことができます。焦らずじっくりと誘うことが、釣果アップのコツです。
底物釣りでの誘い方のコツ
ハタやアラなど、底に着く魚を狙う際にも微速巻きは役立ちます。底物は基本的に居着きの魚なので、派手に動かすよりもジワジワと誘う方が効果的なことが多いのです。
底を取ったら、微速巻きで50センチから1メートルほどゆっくりと持ち上げ、そこで止めます。数秒間ステイさせた後、再び微速巻きで持ち上げる、というパターンを繰り返します。
このリフト&フォールの誘いを微速巻きで行うことで、底にいる魚に長時間アピールでき、食わせのチャンスが増えます。特に根魚は警戒心が強い個体も多いため、じっくりと誘うことが釣果につながります。
微速巻きと手巻きの使い分け
微速巻きは便利な機能ですが、すべての状況で有効というわけではありません。魚の活性が高いときや、潮が速く流れているときなどは、手巻きでテンポよく誘った方が効果的な場合もあります。
基本的には、魚の活性が低いとき、スレているとき、警戒心が強い魚を狙うときに微速巻きを使い、活性が高いときは通常の電動巻きや手巻きで対応する、という使い分けがおすすめです。
また、微速巻きで誘っている最中にも、時々手巻きでシャクリを入れるなど、変化をつけることで魚の反応が良くなることもあります。状況に応じて柔軟に使い分けることが、釣果を伸ばす秘訣です。
4.微速巻き機能搭載のおすすめ電動リール

シマノの微速巻き対応モデル
シマノの電動リールで微速巻きに対応している代表的なモデルは、フォースマスターシリーズとプレイズシリーズです。
フォースマスター1000は、中型クラスで汎用性が高く、タチウオからライトな青物まで幅広く対応できます。MUTEKI MOTORを搭載し、パワフルでありながら繊細な速度コントロールが可能です。
プレイズ1000は、さらにコンパクトで軽量ながら、十分なパワーを備えています。チョイ止め機能を搭載しており、微速巻き中にボタン一つで一時停止できるため、誘いのバリエーションが広がります。
どちらのモデルも、深さ記憶機能や船べり停止機能など、実釣に便利な機能が充実しており、初心者から上級者まで幅広くおすすめできます。
ダイワの微速巻き対応モデル
ダイワの電動リールでは、シーボーグシリーズが微速巻きに対応しています。シーボーグは堅牢性と信頼性の高さで定評があり、長く使える電動リールとして人気です。
シーボーグ300MJは、中型サイズでタチウオやアカムツ釣りに最適な一台です。JOGパワーレバーを搭載しており、微速から高速まで無段階で速度調整が可能です。直感的な操作性の良さが魅力といえるでしょう。
シーボーグ400Jは、やや大きめのサイズで、より深場や大物にも対応できます。パワーがありながらも繊細な速度コントロールができるため、さまざまな釣りに活用できます。
ダイワのシーボーグシリーズは、タフな使用にも耐える耐久性の高さが特徴で、プロの漁師からも支持されています。
ミヤマエの超スロー巻き上げ機能
ミヤマエは、電動リール専門メーカーとして独自の技術を持つブランドです。特に「超スロー巻き上げ」機能を搭載したモデルは、タチウオやアカムツ釣りの愛好家から高い評価を得ています。
AC-3JPシリーズは、超スロー巻き上げに加え、コマセ巻き上げ機能やオートシャクリ機能など、多彩な誘いのパターンを搭載しています。特にタチウオやアカムツに効果的なゆっくりとしたリーリングが可能で、これらの釣りを本格的に楽しみたい方におすすめです。
また、オートクラッチシステムや多板式ドラグシステムなど、実釣に便利な機能も充実しており、日本製ならではの高い品質と信頼性も魅力です。
初心者におすすめの入門モデル
これから電動リールを始める方には、シマノのプレイズ600やダイワのシーボーグ200Jなどの小型モデルがおすすめです。
これらのモデルは比較的価格が手頃でありながら、微速巻きなどの基本的な機能はしっかりと搭載されています。軽量でコンパクトなため扱いやすく、タチウオやアジ、イカなど、ライトな船釣りに最適です。
また、船の電源でもバッテリーでも使用できるため、さまざまな釣り船で活躍します。まずは小型モデルで電動リールの使い方に慣れてから、必要に応じてステップアップしていくのが賢い選択といえるでしょう。
本格派向けのハイエンドモデル
本格的にタチウオやアカムツ釣りを極めたい方には、シマノのビーストマスター1000EJやダイワのシーボーグG300Jなどのハイエンドモデルがおすすめです。
ビーストマスター1000EJは、電動ジギングにも対応できるパワフルなモデルで、GIGA-MAX MOTORによるハイパワーとハイスピードを実現しています。微速巻きから高速巻きまで、幅広い速度域で安定した性能を発揮します。
シーボーグG300Jは、ダイワのフラッグシップモデルで、最高峰の性能と耐久性を誇ります。長時間の使用でも疲れにくい設計で、本格的な深場釣りにも対応できます。
これらのハイエンドモデルは価格は高めですが、その性能と信頼性は間違いありません。長く使える一台をお探しの方にぜひおすすめしたいモデルです。
まとめ
電動リールの微速巻き機能は、タチウオやアカムツなど警戒心の強い魚を狙う際に非常に効果的な機能です。電子制御による安定した超低速巻きが、魚に違和感を与えず、自然な誘いを演出してくれます。
微速巻きを活用することで、繊細なアタリを感じ取りやすく、バラシも軽減できるなど、多くのメリットがあります。ただし、すべての状況で有効というわけではないため、魚の活性や状況に応じて手巻きとの使い分けが重要です。
これから電動リールを購入する方は、ぜひ微速巻き機能搭載のモデルを選んでください。シマノ、ダイワ、ミヤマエなど、各メーカーから優れたモデルがラインナップされています。
あなたの釣りスタイルや対象魚に合った一台を見つけて、微速巻きを使いこなし、さらなる釣果アップを目指してください。電動リールの微速巻き機能が、あなたの船釣りをより快適で楽しいものにしてくれるはずです。